立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ その4
オフィス街の場合は、住宅もあるため今までにご紹介した調査データも調べる必要があります。
1 )町村別事業所数とその推移
商圏内の事業所数とその業種業態がわかります。この調査でその商圏内にどれだけの企業が存在しているのかがわかり、また、その事業所数の増減も把握できます。増加及び横ばいであれば出店しても OK 。減少している場合は難しい。千葉の木更津のように工場地帯として町が発展したところでしたが、工場が閉鎖になると同時にその町に住んでいた工員もいなくなり、町自体が衰退傾向にある地域もあります。
2 )町村別従業者数とその推移
1 )の調査と同時に従業員数も確認しましょう。事業所が減少していても従業員数が増加している場合は出店可能。また、当然ながら、増加傾向または横ばい傾向を選ぶべきです。
3 )駅の乗降客数
前号のその 4 と同じ調査を実施してください。
次に役所で、調べる町の将来調査を行ないます。これも1年に1度は調べておくと良いでしょう。
1 )都市計画課で町の状況を把握しよう。
都市計画課に行き、出店立地の町の変化を先に知っておくことが大切です。都市計画課では町の区画整理、大型の商業施設や新築住宅の建設予定地がわかりますし、もし出店立地が現在更地の場合には、地区地域を知ることで店舗を建てられる立地か、そうでない立地かがわかります。
【区画整理】 とは
区画整理とは区画を整理して交通渋滞の緩和や歩行者の歩道整備などを長期的に計画している事業計画を作ることを言います。ここで知っておかなければならないことは、出店立地周辺の道路変化です。例えば、 5 年後に店の前の道路が拡張されることが計画されていて、そうすると、今の出店場所を立ち退くか、あるいは、店舗の敷地が小さくなることも予想されることから、このように道路拡張が計画されている立地については、不動産会社に確認し道路拡張した場合、どのような対策をとってくれるのか(例えば、拡張するために建物を小さくする費用を国や地主が負担してくれるのか、あるいは、立ち退く場合の立ち退き費用はどこから出るのか)を確認し、なおかつ、契約書内にその内容を記載してくれるように依頼することが大切です。また、道路拡張や歩道拡張、区画の整備などにより、人の流れがどのように変化するかを想定する必要もあります。特に車利用のお客様を獲得したいお店は交通渋滞緩和による新しいバイパスの設置計画など、調査した時点では交通量が多くても、バイパスが開通したと同時に交通量が減少することを想定しておかなければなりません。バイパスが開通することを想定し、将来この道は交通量が増えると考えて出店する場合もあると思いますが、世の中にはバイパスが開通したからと言って、交通量が増えない道路もありますから気をつけましょう。このようにロードサイドのお店はこの調査を定期的に行なっておかないと、将来お店を経営できなくなるケースも有るということを認識すべきです。
2 )大型の商業施設や住宅地の開発計画
大型の商業施設や住宅地の開発には区画整理が必要となるため、開発業者が申請を行なっているので、いつ完成するのか、それによって道路はどうかわるのかがわかります。従って、大規模商業施設ができる場合は、その商業施設が完成した場合、売上がダウンするケースが考えられますし、その施設に入る飲食店によって競合店になる場合があります。また、その反面、その施設内と住宅地を結ぶ道路に出店立地が位置している場合は相乗効果で交通量が増加し、お客様が増大するケースも考えられます。
次に住宅地(マンション、大型ベッドタウンの開発)の開発が行なわれた場合、お客様が増加する要因になります。
3 )地区地域の確認
商業地域や住宅地域には飲食店の開業はできますが、それ以外については飲食店が建設できないケースと、地区地域の変更届け(費用約 30 万前後)を提出すれば建築ができるケースがあるので必ず確認し、もし、自分では分からない場合は、不動産会社や施工会社に調べてもらうことをお薦めします。
また、地域によっては下水道が整備されていない地域の場合、浄化槽(浄化槽がないと営業許可が取れないのでお店が開店できない)が必要となります。この浄化槽は店舗面積や業種業態によって大きさが異なり、金額も 1,000 万円以上の費用が必要になります。この費用については地主が負担するケースや出店者が負担するケース、地主と出店者で折半するケースがあるので不動産会社に確認してください。
次回は 立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ その5です。
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