立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ その2
商圏の設定が決まったら、次はその商圏内の裏付け調査を実施する。地図上にマーキングした商圏内の住宅地、企業、学校、駅、道路、商業施設、競合店について具体的に調べます。
■市役所や区役所にある統計課にある国勢調査を利用します。これから紹介する調査項目は、毎年調べると将来どのような戦略や対策を立てて行くかがわかるため、必ず、1年に一度はチェックすべきです。
住宅地で調べる内容は、
1)町村別人口の増減(過去 5 年間)
町の人口の移り変わりが分かります。横ばいあるいは増加している地域であることを確認します。特に人口が増加しているということは、将来性があることはもちろん、新興住宅地や新築のマンションが多いことの裏付けとなります。
2)町村別男女別年齢人口(最新版)
男女別年齢別人口は、男女別で 5 歳きざみの人口を統計したものです。これを見るとどの年齢が一番多く住んでいるかを把握することができます。例えば、 20歳から 24 歳までが一番どの年齢よりも多く、次いで 25 歳から 29 歳が多い場合、20 歳から 29 歳がターゲットとなり、一人暮らしが多いことが予想できます。さらに、この情報から推測できることとして 5 年経つと 25 歳から 29 歳が一番多いマーケットで、ついで 30 歳から 34 歳が多くなると予想できますが、ここでのポイントは、現在 15 歳から 19 歳のマーケットが多いかどうかで将来性を判断することができます。もしこの年齢層が少ないのであれば、 5 年後にもしかすると業態変更を考えるか、その時に再度、この調査を行って状況を判断することが大切です。
3)1世帯当りの人口統計
これは、 1 世帯当りの人口を調べたものですが、これを見ると 1 世帯に何人住んでいるかが判断できます。 2 )のところでワンルームマンションが多いと判断したことが、ここでさらに裏付けされることになります。もし、 1 世帯当りの人口が 1.8 人である場合は、ワンルームマンションもあるものの、若いカップルや夫婦が多いと予想がつきます。そうすると、業種業態も今までは一人暮らしをターゲットとしたファーストフードを考えていても、ファーストフードよりも居酒屋や弁当屋などの業態の方が成功する可能性が高くなります。
4)住宅建設件数(調べている自治体と調べていない自治体がある)
この情報から分かることは、過去の推移を見たときに、増加傾向にあれば新興住宅地であると判断できる裏付けとなります。
5)1世帯当りの所得
1世帯当りの所得とその増減を見ると、どのぐらいの低所得者層が多いのか、高所得者層が多いのかを判断できます。判断する基準は全国平均や都道府県平均を比較して、上回っていれば高所得、下回っていれば低所得と判断できます。すると、ファーストフードや弁当などの低価格業態を出店するか、高級専門店業態を出店するかが判断でき、さらに、客単価も想定できるのです。
6) 1世帯当りの車保有率
1世帯当りの車保有率を見た場合、東京は 1 台を切っているものの、山梨などは2 台以上になっています。これからわかることは、車を利用する人口が多いか少ないかが判断でき、さらに、 1 世帯当りの人口と車の保有率を比較すると、 1 家に台なのか、 1 家に 2 台なのか、などがわかります。2台以上の保有率が有ると、その町は車社会であり徒歩での集客は難しくなる可能性が高くなります。ここまでの情報でわかることは、例えば、 1 家に 2 台あり、 1 世帯当りの人口が 2.3 人で、年齢別人口で 5 歳から 9 歳、 10 歳から 14 歳が多いとした場合、お父さんとお母さんで一台ずつ使用していることがわかります。そうすると、駐車場が絶対に必要です。また、主婦が車を利用することがわかると駐車場が停めやすくて、駐車場の入口が入りやすく、看板が目立ち、さらに、主婦が集まって食事ができるメニューを作るなど、お店を作るうえにおいて重要な情報収集ができます。そして、ファミリー客もとれて、子供も小さいからボックスシートの必要があったり、家族セットメニュー等を用意すると売上アップにつながる可能性があります。ファミリーを対象とする場合、平日のランチは主婦、週末はファミリー、しかし、平日の夜は弱いこともわかり、売上予想や業種業態の選定基準にもなります。
次は、立地の可能性がわからないときは、情報と調査で裏付けをとれ その3です。
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